Bachelor's Thesis (2023-2024)

メガネなしで、もっと広い範囲から、もっと綺麗に、3D映像を見たい!

時分割表示と黒フレーム挿入を用いた粗インテグラル方式3Dディスプレイの画質改善

裸眼3Dディスプレイの課題である「視野角の狭さ」と「偽像」を同時に解決する手法を提案した。映像を高速で切り替える「時分割表示」と、 残像を消去する「黒フレーム挿入」を組み合わせることで、 視野範囲を従来の2倍に拡大しつつ、クリアな立体視を実現した。

2024.04 - 2025.03
C#, Unity 2022, Shader Lab (Compute Shader)
Optics (3D Display)

実験結果の比較Visual Comparison

動画による動的評価

3つの手法を同時に再生し、視点移動時の安定性を比較する

Method 1: Conventional
従来手法

正しい像の横に偽像が常に表示され、視界が二重に見えるため視聴困難。

Method 2: Time-Division
時分割表示のみ

視野範囲は拡大したが、切り替え時の残像によりうっすらとした偽像が残り、鮮明さに欠ける。

Method 3: Proposed
提案手法

黒フレーム挿入により残像が一掃され、ゴーストのない鮮明な像を実現。

動画上ではカメラのシャッター同期により点滅して見えますが、肉眼では残像効果により滑らかに見えます。
再生操作について上部の「Play All」ボタンを押すと、3つの条件での比較動画が同期して再生されます。これにより、同一条件下での画質・安定性の違いを厳密に比較検証できます。

静止画による静的評価

Conventional
Conventional Method

従来手法

隣接視点からのクロストークによる二重像が確認できる。

Proposed
Proposed Method

提案手法

エッジが明確になり、本来の立体形状が正しく再現されている。

背景と課題Background & Issues

従来の粗インテグラル方式3Dディスプレイには、実用化を阻む2つの致命的な弱点があった。

狭い視野範囲

視域から少しでもズレると立体視できない。視域が狭く、複数人での同時視聴が困難であった。

偽像の発生

隣接するレンズからの光が混入し、本来見えるはずのない「映像の残骸」が視認性を低下させていた。

技術的アプローチと成果Solution

課題を解決するために、ハードウェア制御と知覚心理を利用した2つの手法を組み合わせた。

1
時分割表示による視野拡大

視点位置に応じて「右寄り用」「左寄り用」の映像を高速で切り替える制御システムを構築。

人間の目の残像効果を利用してこれらを統合し、視野範囲を従来の2倍へ拡張することに成功した。

2
黒フレーム挿入によるゴースト除去

映像の切り替え間に一瞬だけ「黒フレーム」を挟むことで、網膜上の残像をリセットする手法を導入。

輝度を維持しつつ偽像を視認不可能なレベルまで低減し、くっきりとした立体像を実現した。